漆・漆芸材料専門店 渡邉商店自家製造

当店では、荒味漆(採れたままの漆、木くずや塵などが多く含まれます)を仕入れ、自家製造にこだわり、販売しております。
常にお客様に自信を持ってお勧めできる漆を目指しております。
ここでは、自家製造の流れをご紹介したいと思います。

自家製造の流れ

中国産漆は25kg入の桶で産地別に輸入されます。

中国産漆は、産地にって質の違いがあり、採れた年の天候や中国の輸出業者によっても、品質が大きく左右されます。
(日本産漆は、漆を掻く人によって品質が変わります)
色、香り、乾き、透け、しまり、艶などを検品していきます。
香りも大切な要素の1つです。

検品した漆を、生漆、透漆、黒漆 どれに向くか検討し、調合していきます。

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黒漆(ろ色漆)の製造過程

まず、くろめる前日、荒味漆に鉄粉を入れ、混ぜ合わせます。
漆と鉄が反応し、泡が吹き、灰色になっていきます。

くろめを行う機械に、前日に鉄粉を合わせた漆を入れます。

始めに、なやし(漆の成分を均一にする)を行います。

次にくろめ(加熱しながら、なやしを行う)を行います。

熱源は現在ガスを利用しています。以前は炭を利用していたそうです。
くろめの作業は数時間掛かります。
当店は街中にあり、においが出るため、深夜から作業を始めます。

くろめは、荒味漆、その日の天気、温度、湿度の違いで作業時間がかわります。
へらを使い漆を観察し、残りの水分量を見ていきます。
一般的に荒味漆の状態では、水分量が20-30%ありますが、くろめることにより、その水分量を2-3%まで飛ばします。

次にくろめが終わった漆を濾過していきます。
現在、濾過する方法は遠心分離機が主流ですが、当店では昭和30年代に作った圧搾機械が今も現役で活躍しております。

まず、くろめた漆に綿を入れていきます。(漆の中の塵をからめとるため)

そして何層にも重ねた布に、綿を入れたうるしを包み込み、圧搾します。

濾過した漆は、数か月寝かして落ち着かせます。

「つけ」をとって、出来上がった漆の乾き、色、しまり、艶などを確認します。

お客様の必要量に小分けし、販売となります。